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29-10

物を通して
両親と子供の気持ちのつながりが捻れてしまった…
そんな二つの切ない光景が、
僕はいつも思い出されます。

一つは…
単にあたしがわがままだったせいか、
親子のコミュニケーションが
上手くいってなかったからなのかわかりませんが…

ある日、母が
かわいらしすぎて
当時のわたくしには似合わなかったと思われる柄の
ポーチを買ってきてくれたときのこと。

私の文句がエスカレートしてケンカになり、
わたしは激しく泣き叫び、母親も泣かせてしまいました。

挙句の果て、
そのポーチは外に投げ捨てられ、
雨に濡れて転がっていました。

このケンカは、
お互いにわかってもらえない
気持ちのぶつかり合いだったようです。

ポーチにママのわたくしへの気持ちがこもっていることは
ケンカの最中も十分感じていたので、
あめに濡れるポーチは
ひときわ悲しくおれの目に映りました。

その後、落ち着いてから拾ってきて
長い間使うことになったのですが…

もう一つは…
弟がパパに買ってもらった
ミキサー車のおもちゃにまつわる光景です。

とってもおもしろいおもちゃで
おとうとは大喜び!!
庭の砂を入れては出す…という遊びに
毎日熱中していました。

でも、その遊び方が
お父さんは気に入らなかったみたいです。

戦争中志願して入隊したような人ですから、
木刀を振り回しているような
男の子を望んだのかもしれません。

親父は突然怒り出し、
そのおもちゃを蹴り飛ばして壊してしまったのです。

砂の上に無残に転がる壊れたおもちゃ。
そばにはもうおとうとの姿もなく…

後日悪かったと思った親父が
より高性能なものを買い直して来たのですが、
どんなになだめても、
おとうとがそれで遊ぶことはもうありませんでした。

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